2B1形タンク機関車
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一般配置図 今度は、渡辺精一氏設計の『2B1形タンク機関車』。ゲージは45mm、スケールは10mmです。ボイラは前回のキットと同じスミシス型ボイラのアルコール焚きです。バルブギアも同じスリップエキセントリック。 左の絵は、渡辺精一氏の設計図を元に描いた一般配置図です。 |
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鉄板の切り出し とりあえず初めの一歩ということで、先ずは鉄板の切り出しから。これが結構大変。もしかしたら、今回の工作の中で一番疲れるところかも。切り出す大きさは40mmx360mmが2枚。手持ちの軟鋼板(600x450)のままでは大きくて場所を取るので、初めに糸鋸で80mmちょっと(長さ450mm)の幅に切り出してから、それを半分の40mmx450mmの板にし、最後に長さを360mmに揃えます。 |
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左の写真は、切り抜きと穴あけの終わった枠板。左右の枠板を糸鋸で切り抜いてから、端梁を取り付けるところの2mmの穴4個をあけ、それを使って枠板2枚を重ねてネジ止めし一体としてから、穴あけをしました。 で、早くもミスってしまいました。シリンダ取付用の穴を左右の枠板ともあけてしまったのです。このシリンダ取付用の穴は右側には不要でした。 |
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フレームの組み立て 端梁(エンドビーム)は、12mmx12mmのアングルを長さ95mmほどにカットし、フレームがはまり込む溝を糸鋸とヤスリで作り、その溝に合わせてフレームをネジ止めするための7mmx7mm長さ10.5mmのアングルをリベットとロー付けで取り付け、作りました。両端の欠き取りは全幅を89mm(設計書90mmを変更)に揃えてから、糸鋸で切り取りヤスリで仕上げました。 |
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横梁です。左から、ボギー台車センターピン取付用、モーションプレート、ポニー台車センターピン取付用、それからボイラ支え用です。苦手の『コ』の字型のパーツでしたが、設計書どおりに鉄板を折り曲げて作りました。2つほど試作をしてから曲げましたが、なんとか、まあまあの寸法で曲げることができました。長くなったもの(0.1mmから0.2mmぐらい)はヤスリで削って調整しました。 |
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組み立てたフレーム 間違って開けてしまった右側のシリンダ取付用の穴ですが、開けっ放しも考えましたが、やはり埋めました。穴径にぴったりのドリルロッドを差し込んでから、銀ローを流して埋めました。 |
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連結器 連休中はボギー台車でも作ろうかと思っていたのですが、車軸ブッシュの穴を開ける7mmのドリルがないのに気付き、とりあえず手持ちの材料と道具で出来るものということで、連結器を作ることにしました。 左の写真は、3mm厚の黄銅板に型紙(JNR8620の時のもの)を使ってフックの形を罫書いたところです。で、先にネジ部(M2.6)と四角の部分(3mmx3mm)を切り出し(写真)、このままの状態で旋盤に掴みネジ部を2.6mmの直径に揃えてから、先にネジを切ってしまいます。反対側も同じようにしてネジを切ります。 |
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クサリ型の連結器は以前(8620製作時)にも作っているので、今回はネジ連結器を作ってみました。写真左が組み立てる前、右が組み上がりです。シャックルのU字形部分と細い棒は直径1mmの黄銅線、シャックルの根元の丸パイプはφ2mm、真ん中の三つのパイプは直径3mmの丸棒から作ったもので、長さは2m、M1.7のネジが切ってあります。その両側のネジは、三つのパイプにねじ込むM1.7ネジです。フックに通す方のシャックルは、フックに通してから片側のパイプ(φ2)をロー付けします。で、フックに通す方のシャックルですが、3mmパイプにねじ込んだネジの頭がフックの先端に当たらないようにするために、反対側のシャックルよりリーチが1mmほど長くなっています。全長は約24mm。 |
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スリップエキセントリック弁装置 手元に転がっていた端材を使って作りました。写真左上からスリップエキセントリックシーブ、ロッカーアーム、バルブコネクチングロッド。写真下(手前)はスリップエキセントリックストラップです。スリップエキセントリックシーブの直径は19mm、直径20mmの黄銅丸棒から作りました。偏心は3mmで、シーブ幅は4mm。中央に幅1mm深さ1mmの溝があります。ボスの直径は13mm、幅4mmです。その隣はロッカーアーム、1.5mm厚の軟鉄で作りました。バルブコネクチングロッドも軟鉄1.5mm厚(心心17mm)で作りました。スリップエキセントリックストラップは25mmの黄銅丸棒を24mmにしてから、シーブの直径に合わせて穴径を中グリバイトで19mmに仕上げました。ロッド部は2mmドリルロッドを使いました。 |
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組み立てたスリップエキセントリック弁装置です。ストラップの上下のネジは、シーブからの外れ防止のネジ(M2)です。先端がシーブの溝に合わせて直径1mm長さ1mmとなっています。ストラップのロッド部はクランク状に曲がっていて、心が2mmほどズレています。ロッカーアームの2個のネジ穴(M2)の内シリンダ側(写真右上のネジ穴)にエキセンストラップロッドが、もう片方にはバルブコネクチングロッドがM2ネジでつながっています。エキセンストラップロッドとバルブコネクチングロッドが交差する感じです。で、訂正です。このページの最初の一般配置図は、この部分が間違っていました。 |
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ボギー台車とポニー台車 やっと7mmのドリルを買って来たので、台車を作りました。 左の写真はボギー台車の部品を並べてみたところです。枠板は1.5mm(1.6mmのつもりで買って来たのですが、実測1.5mmでした)の鉄板から糸鋸で切り出し、ヤスリで仕上げました。横梁も1.5mmの鉄板で、糸鋸で切り出してからコノ字型に曲げました。車軸ブッシュは内径5mm、リン青銅です。 |
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左の写真、こちらは従台車。1軸のポニー台車です。 すべて1.5mmの鉄板から切り出しましたが、この枠板のクランク状の曲げがなかなか微妙で、ちょっと難しかったです。 |
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写真上が組みあがったボギー台車、下がポニー台車です。 ボギー台車の方ですが、枠板の片方はネジ(M2)2本で横梁に固定してしまいますが、もう片方は段付きのピボットネジとし、枠板が回転するようになっています。一方、ポニー台車は、すべてネジ止めです。設計書では後ろの横梁と両側の枠板はリベットとハンダで組み立てるようになっていますが、これは、たぶんネジ止めでは、その頭が車輪に当ってしまうからだと思います。今回使用するネジ(M2)の頭の厚みが0.6mmほどと薄く、車輪に当たる心配がないのでネジ止めとしました。 |
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メインフレームに取り付けたところ フレームとの間にスプリングを挟んで取り付けてあります。ボギー台車は内径6mmのスプリング、ポニー台車は5mmのスプリングを使っています。 |
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ところで、ポニー台車(従台車)の取り付けですが、設計書にはフレームのポニー台車取り付け用の横梁にピボットネジで取り付けることになっているのですが、実際に、そこにピボットネジで取り付けようとすると、ポニー台車の車軸の位置が、どうやっても適切な位置に来るように取り付けることができません。なので、設計書にはありませんでしたが、写真のようなネジを切ったスペーサー(バネピンの左隣、高さ5.5mm直径6mmの柱)を作って取り付けることにしました。 |
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車軸とクランク 車軸とクランクを作りました。車軸はスリーブにはめて組み立てます。設計書では、スリーブにテーパーピンを打って固定するようになっていましたが、簡単にネジ止めにしました。クランクは銀ロー付けで組み立てることにしたので、腕(柄)の部分はロー付けが簡単な黄銅にしました。クランク軸もロー付けを考えると黄銅の丸棒あたりを使いたいところですが、耐久性を考えてドリルロッドにしました。 |
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クランクのロー付けが終わったところです。 ドリルロッドを使ったクランク軸にも、何とかローが流れたみたいです。 この後酸化したところを酸洗いで落としますが、ドリルロッドが溶けてしまうので、あまり長い時間浸けておくことができません。だいたい浸けても1分ぐらいです。 |
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写真は、クランクにバルブギアをセットしてフレームに取り付けてみたところです。 モーションプレートの位置が後ろ寄りだったので、少し前方に移動しました。シリンダを取り付けると、また、位置が変わる可能性があります。シリンダを先に作るべきでしたね。どうしても、簡単そうなものから作ってしまいます。 |
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シリンダ シリンダ本体です。30mmx30mmの黄銅角棒から切り出しました。これを旋盤で仕上がり寸法より少し大きめ(0.5mmほど)に削ってから内径13mmの穴(設計書12.7mm)をあけます。この穴は、小さいドリル(5mmぐらい)から少しずつ大きいドリル(12mmぐらい)に替え、あとは中グリバイトで12.8mmぐらいまで開け、最後に13mmのリーマーを通します。こうして13mmの穴があいたら、次に、この穴にしっくりはまるヤトイを作り、これを旋盤で掴みシリンダ後端面を仕上げます。これでシリンダとシリンダ後端面の直角が出ることになります。シリンダの製作では、この直角と、シリンダの後部カバーの心とスタフィングボックスのOリング押さえの心が正しく出ていることが大切なのですが、これが結構難しくて、ピストンロッドをシリンダ後部カバーに通してピストンを出し入れしてみるのですが、大抵はシリンダの後方で固くなったりするので、少しでも滑らかに出入りするところを見つけてシリンダ後部カバーをネジ止めします。このときにクロスヘッドの上下の向きも決めておきます。 |
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ピストン部分とコネクティングロッドです。 今回は、ピストンとスタフィングボックスにOリングを使ってみました。Oリング押さえも設計書のネジ込み式ではなく差し込み式にしました。この方式の方が心が出易いように思います。スタフィングボックスの横にあるネジは、そのOリング押さえを固定するネジです。 コネクティングロッド(写真下)は、3mm厚の軟綱を糸鋸で切り出し(これが結構大変)、ヤスリで仕上げました。ビッグエンドの部分は二つ割にしたブッシュをU字形の金具で押さえるようになっています。 |
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滑り弁(写真左)と、その留め金です。 滑り弁は四角い穴を開けた厚み1.5mm黄銅板と、1.5mmの黄銅板をコの字型に曲げたものをロー付けで貼り合わせて作りました。留め金は4mm厚の黄銅板にバルブロッドの通る2mmドリルをしてから糸鋸で切り込みを入れました。上面に見えるふたつのネジ(M1.7)でバルブロッドに固定します。 |
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フレームにシリンダを取り付けました。 シリンダは、左側のフレームにM4ネジ2本で固定します。設計書ではフレームとシリンダの間にファイバーシートを挟み、これで排気を上向きのブラストパイプに導き、またシリンダとフレーム間の断熱板として役立てるとありましたが、ファイバーシートは省略しました。シリンダがどのくらい熱くなるかわかりませんが、たぶん大丈夫でしょう。 写真は、ちょうど前側の給気ポートが全開になっているところです。バルブギアの偏心が後方にあって、クランクは90度の位置にあります。一番力の出るところですね。 |
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車輪 車輪を木型から作るほどの気力もないので、イギリスの"Walsall model industries"というところに注文しました。オプションで完成品も選べましたが、値段の安い鋳造上がりにしました。写真が、その車輪です(右下は試しに仕上げた車輪)。鋳物自体が結構分厚くてスポークが下まで抜けていません。厚みが大体12mmぐらいあります。車輪完成時の厚みがハブを含めて7mmなので、車輪を仕上げるには裏面を5mmほど削り込む必要があります。超硬のバイトでサクサク削れるのは良いのですが、煤が混ざっているせいか、超硬でも刃先が直ぐに丸くなります。 |
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切削仕上げの終わった車輪を仮組みしたところ。 まだ、スポークの間に砂やバリが残っているので掃除をしなければいけません。あと、クランクピンの穴あけもあります。 で、バランスウエイトがありませんが、今回は面倒なので省略することにしました orz |
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連結棒 連結棒は3mm厚の軟綱材から作ることになっていますが、糸鋸で3mm厚の軟綱材を切るのは大変なので、少しでも切り抜く距離を短くしようと、今回はロー付けで作ってみました。 写真はロー付けの終わった連結棒。両端のクランクピンの入る丸いところは直径7mmのドリルロッドに内径4mmの穴をあけたもの。これに幅4mmで切り出した3mm厚の軟綱材をロー付けしました。連結棒の軸間の長さは、ロー付け前に、この幅4mmの軟綱材の長さを調節して合わせました。 |
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完成した連結棒です。 表面の溝入れは、専用の工作機械がないと難しいので止めました。 |
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写真は、クランクピンの穴あけ用に作ったジグです。 使い方は、切削の終わった動輪を、木の板に立てた5mmのボルト(動輪の車軸の嵌るところと同じ太さ)に嵌め、その上に鉄板を載せてから真ん中のナットと両側の2本の木ネジで固定します。それから、鉄板に垂直に立てた外径約6mm内径3mm高さ約20mmのパイプに電動ドリルにセットした3mmドリルを差し込んで穴をあけます。 |
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下回り完成 組み立てが終わった下回り これまで塗装は全てが完成してから行っていましたが、今回は車輪を接着で固定してしまう関係で、特にボギートラックとポニートラックは車輪を組んでしまってからでは塗装が難しいので、先に塗装をしました。ついでなので、下回りの塗装も済ませてしまいました。塗装に使ったのは、これまでもフレームの塗装に使っているオキツモのワンタッチスプレーです。フレームと車輪は耐熱温度550°Cの黒。バッファービームとバッファーは同じくワンタッチスプレーの赤。こちらは耐熱温度200°Cです。 |
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ボギー台車を裏から見たところ センターピンがはまる穴は細長くなっていて、横方向にも動くようになっています。けっこう自由度が高いです。 |
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ポニー台車を裏から見たところ ポニー台車はピボットを中心にバネピンがはまる円弧状にあけた穴の範囲で、後部が振れるようになっています。 |
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バッファー バッファービームへの取り付け部ですが、設計書の丸い形では無く、写真などを参考に四角いものにしました。 |
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シリンダに取り付けられた吐出管(排気管) パイプの太さは4mm。先端の吐出管ノズルの口径は1.6mm、4mmパイプにロー付け。シリンダ排気出口への取り付けは、1.5mm厚の黄銅板でフランジを作り、M2のネジで固定してます。 |
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歩み板 歩み板の長さは365mmです。手持ちの黄銅板(縦1200mmx横365mm)の横方向の寸法と同じだったので、そのまま使いました。渡辺精一氏の著書『ライブスチーム』には、”長い台枠板を大きな材料から切り取って仕上げるのは、苦労の大きい作業である。しかし、上下の縁が平行で、寸法どおりの帯鋼材があったとしても、材料そのままで仕上げ無しに用うべきではない” と書かれています。ですので、これまでは丁度の材料があってもそのままでは使わず、1mmほど切り落としてから使っていましたが、今回は、ぴったりの誘惑に負けてしまいましたorz |
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左の写真は歩み板の下面に付ける角棒(3mmx3mm)と飾り板です。飾り板の厚みは1mm、角棒にリベット止めしてからロー付けしました。これを歩み板へ取り付けますが、後の塗装(オキツモ耐熱塗料)を考えて、設計書のリベットと半田による取り付けではなくネジ止め(M1.4x9)にしました。 |
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