0-4-0 Overtype
(Freelance)


2012/7/9
overtype.png0-4-0の小さい機関車を作り始めました。オシレーチングエンジンでガス焚きにするつもりです。”overtype”と呼ばれるボイラの上にシリンダが乗った機関車です。
左の絵は完成予想図ですが、"A Passion for Steam"という本の"Denver"という機関車を、主に参考にしました。

120708_1フレームは今回も鉄板です。左右の枠板は厚み1.6mm、前後端梁は2mm。内寸に合わせて曲げたコの字型の鉄板(厚み1.6mm)にタップを立て、M2のネジで枠板と端梁を組みました。軸受け用のブッシュにはリン青銅を使いました。


2012/7/15
120714_1オシレーチングエンジン
ボイラの上に乗せるので、出来るだけコンパクトに作りました。サイズは、ボア8mmストローク10mm。ピストンの心心は26mmです。フレームは15x15の真鍮アングルの一辺を短くしたものを向かい合わせ、10x10の真鍮角棒を挟んでロウ付けして作りました。

120714_2片側のシリンダを分解したところです。ピストンロッドが短いのが分かりますね。 全長を短くするには前後の蓋をハンダで付けてしまえば良いんですけど、不具合の出た時のことを考え、敢えて外せる様にしました。ピストンの溝には今回グラファイトヤーンではなくPTFEヤーンを巻きました。また、シリンダを蒸気板に押し付ける方法もバネ性のあるステンレス線で挟むタイプにしてみました。


2012/7/26
120726_135mm真鍮丸棒を使って車輪を作りました。フランジまでの直径は33mmです。クランクピンは前後の車輪で長さが違います。今回は車輪への伝達方法を"Denver"のようなチェーンではなくロッドにします。なので、前の車輪に立てるクランクピンの長さはカプリングロッド2枚分の厚み(プラスα)をとりました。(左の二つが前の車輪)
ブッシュも少し変えました。車輪を回すとブッシュも一緒に回ってしまうので、ヤスリで削って平らな面を作りました。ブッシュを留める方には出っ張りをロウ付けしておきました。クランクピンの対角にあいている穴は、ブッシュを留めるパーツをネジ留めする際のドライバーを差し込む穴です。

120726_2エンジンに減速用のギヤを付けました。減速比は3:1です。クランクも付けました。動輪と同じクランク長です。軸の通る穴にはボールベアリングを使いました。

120726_3位相合わせです。前回JNR8620で作った治具を使いました。車輪と車軸の固定はロックタイトです。もたもたしていると直ぐに固まってしまいます。逆に、はみ出たロックタイトは固まらないので、車輪が固定した頃を見計らって早めに拭き取っておくようにします。そのままにしておくとブッシュがくっついてしまいます。


2012/7/29
120728_1ボイラ
ボイラ胴本体はいつものように1mm厚の銅板を丸めて作りました。前と後の板の厚みは1.6mmです。フランジはつけてません。小さいこともありますが、だいぶ綺麗に丸められるようになったと思います。この分なら煙室まで伸ばしてボイラオオイ無しでも良かったかなと。全長は101mm、直径は42.5mmです。煙管の太さは外径で18mmです。ブッシュは加減弁と安全弁用の他にエンジンを固定する為のものも作りました。小さなブッシュは圧力計用です。二本のネジとコの字型のパーツはボイラを床に固定するときに使います。今回、ブッシュにはリン青銅を使いました。

120728_2ボイラ完成
カートリッジ式のガスバーナーのガスが少なく綺麗に融けるか心配でしたが、二刀流で難なく流れてくれました。水圧テストは給水ポンプがないので、どうしようか迷っています。テスト無しでも大丈夫かな〜。


2012/8/1
120731_1フレームを組み、車輪をセットしたところです。
真ん中辺りに補強用のスティ(5φ)と床をネジ留めする為のアングルがあり、四隅にも床を留めるアングルがあります。

120731_2写真はボイラ後部です。ボイラから出た二本のネジで真鍮の金具を介して床に固定しています。

120731_3こちらはボイラ前部です。ボイラにロウ付けしたコの字型のパーツに床の裏側からM3のネジで固定してます。見た目より意外にしっかりしています。


2012/8/5
120801_1カップリングロッド
1.6mm厚の鉄板を使ってカップリングロッドを作りました。とりあえず先に穴の間隔だけを決め、3mmの穴を開けてから徐々に4mmまで広げブッシュを押し込みます。外形の整形はその後。

120801_2エンジンの取り付け
エンジンは加減弁用のブッシュを使ってターレットと共に締め付けて取り付けることにしました(今は仮留め)。もう一カ所はエンジン後蓋とクランクシャフトの間にありますが、こちらはM3のネジ一本で留めます。ぐらつくこともなく意外にがっちりと留まりました。


2012/8/9
120803_1サイドタンク
すべてハンダで組み立てましたが、どこを折り曲げるか? どこで張り合わせるか? 板の組み合わせ方で結構悩んだりしました。
リベット(ダミー)は、2tハイスラーの時に作った”リベット打ち出し工具”を使いました。


2012/8/11
120805_1ボイラオオイ
直径が小さいので曲げるのも一苦労でした。きれいに曲がらないので、合わせ目をネジで締め付けて無理矢理引っ張って丸めてます。やはり、煙室まで伸ばした形でボイラを作っておけば良かったかなと思います。
煙室のリベットは、こちらも”リベット打ち出し工具”を使いましたが、ボイラオオイを丸めてから打つ事になってしまったので、長目のポンチをボイラオオイの縁から斜めに立てて打ちました。煙突の穴と煙室底の穴はこれから。


2012/8/16
120812_1煙室扉の工作
いつもは丸い凹みを使って真鍮板を打ち出していましたが、今回は真鍮の丸棒(直径40mm)の断面を旋盤でうっすらと丸く削り、そこに真鍮板を当て叩いて丸みを付けました。この方法は、直径の大きな丸棒さえあれば良い方法ですね。何故、今まで思いつかなかったんでしょう。

120812_2ヒンジ用の帯(厚み0.6mm)を煙室扉の丸みに合わせてヤットコで曲げ、リベットで留めてからロウ付けしました。リベットには1mmの銅線を使いましたが、ちょっと小さ過ぎました。もっと大きくても(1.5mmぐらい)良さそうです。

120814_1いつものことながらヒンジのロウ付けには手こずりました。中央に煙室扉が来るよう中々ロウ付けできません。四五回はやり直したでしょうか。
真ん中の時計の針みたいなハンドルはダミーで、旋盤で削って作ってからロウ付けしました。

120814_2留め具はバネ性のあるステンレスの板を丸めて作りました。煙室をアルコール焚きの様に密閉する必要がないのでパチッと留まればOKです。


2012/8/20
120818_1煙室サドル
折り曲げ部は、四角ヤスリで溝を付けてから曲げています。厚みは1mmです。煙室側はネジ留めしません。床とボイラで挟んで固定する感じです。

120818_2煙突
12.7mmの真鍮パイプをそのまま使いました。キャップは20mmの真鍮丸棒を旋盤で削って作りました。ロウ付けはしないで被せるだけにします。ベース(1t真鍮板)は、煙室のRに合わせて曲げてから真鍮パイプにロウ付けしました。

120819_1これまでに作った部品を組み立てたところです。
空気入れで空気を送ると、とりあえず動きます。ただ、これまで作った機関車に比べると、ちょっと機械音が大きい感じです。


2012/8/26
120825_1ガスバーナー
バーナー部は外径6.5mm内径5mm長さ50mmです。スリットは糸鋸で入れました。幅は0.5mmです。
カラーは20mm真鍮丸棒で作り、バーナー部は2.5mm程偏心してます。空気穴には直径6mmの穴を2個開けましたが、空気が不足するようでしたら後で増やすことにします。
ガスジェットはいつものように線引き板で引いた銅管(内径約0.15mm)を真鍮の丸棒に埋めロウ付けしてから、それらしく整形しました。写真ガスジェット下がその銅管です。外径は約0.5mm。


2012/8/28
120827_1ガスタンク
コの字に曲げた銅板(厚み1.6mm)を組み合わせて作りました。面積の大きい方の銅板の内側には中央に補強の板が渡してあります。

120827_2ガスタンク完成
ガス漏れも怖いので、一応検査をしておきました。タンクを水の中に入れ、空気入れで空気を送り検査をしましたが、とりあえず漏れはありませんでした。
次は、これをサイドタンクの中に納めます。


2012/9/1
120831_1ガスタンク取り付け
サイドタンクを床に固定するためのアングルが邪魔して、ガスタンクをサイドタンクの中に入れることが出来ません。結局、そのアングルを削り落として入れましたが、今度は、そのサイドタンクの取り付けをどうするか? 今のところ、内側の二本のネジで床に固定していますが強度的に少し心配です。後で、アングルを別の位置に追加した方が良さそうです。

120831_2ついでに給気管と排気管も取り付けました。これも結構難しくて、どこをどう引き回したらいいか、あれこれ悩みました。排気管はトラクションエンジンの様に直接煙突の根元に入れることにしましたが、エンジンの下を通し前方に持って行ったので、途中、クランクとのクリアランスが1mmもなくなってしまいました。 それにしても、ここまで来ると、だんだん余計な穴が開いてきますね。って、自分だけ? ^_^;


2012/9/3
120901_1加減弁
レギュレーターとかスロットルバルブとかも呼ますね。例によってネットから探し出して来た図面を見て作りました。本体の直径は6.5mm、全長は26mmです。スピンドルには3φのステンレス棒を使っています。


2012/9/9
120909_1給油器
車輪を避けるつもりで少し前方に取り付けましたが、時々サイドロッドが水抜き用バルブに当たります。いつも思いつきで作っているので、こういうことがよくあります。


2012/9/14
120913_1バーナー作り直し
共鳴音が大きいので、バーナーの先端を作り替えました。いつもの丸い穴のバーナーにしました。どうもスリット形は共鳴音が出易いように思います。直径は同じですが、全長を10mmほど長くしました。結果ですが、今のところ共鳴音はありません。火力も火口面積を広くしたせいか強くなった気がします。ついでに、バーナーの先端に突っかい棒(L字の板)を付けました。バーナーを煙管に差し込んだ時、先端が上がってしまうのを防ぐ目的です。

120913_2煙管の先端から煙室扉までの距離が近いので、煙室扉が熱くなることは予想していたのですが、やはり、焼けて直ぐに黒くなってしまいました。塗装後のことを考えるとちょっと心配なので、扉の裏側に板を一枚入れ、煙室扉を二重にしました。煙室扉と板との間隔は約4mmです。
また、給油器に当たっていたサイドロッドですが、エンジンからのロッドと一緒に写真の様に細く削りました。ギリギリですが、とりあえず当たらなくなりました。


2012/9/16
120916_1試運転
初走行にしては非常に調子良く走りました。以前、エアーで回した時に気になった機械音もほとんどありませんでした。逆に、今回はバーナーの燃焼音が気になりました。まだ、あちこちから蒸気が漏れているにもかかわらず、2kgf/cm2近い圧力を示していたので、共鳴音さえなければ、もう少し小さなバーナーでもいいかもしれません。
ところで、今回の動画ですが、何故かピントがあっていませんでした。蒸気がレンズに当たったせいかもしれませんが、使用したカメラも、かれこれ10年も使っています。そろそろ寿命でしょうか?


2012/9/23
120921_1サイドタンクに開けたガス吸入口と給油器用の穴を給水口のダミーを作って隠すことにしました。給水口は12.7mmの黄銅パイプ、蓋は1mm厚の黄銅板を使いました。取っ手と蝶番をロウ付けしてから、サイドタンクにハンダ付けしました。


2012/9/27
120926_1ヘッドライト
作る予定の無かったヘッドライトですが、15x15の黄銅角棒の切れ端があったので、カンテラの様な小さなヘッドライトを作ることにしました。本体は、角棒の中心に12mmのドリルで穴を開けてから、前面に12.7mmの黄銅パイプをロウ付けして作りました。レンズは2mm厚のアクリル板を丸くヤスリで削って作り、リフレクタはアルミの板を半球状に打ち出しました。煙室前面の板にはM2のネジ一本で留めましたが、簡単に動いてしまうのでロウ付けしました。

120926_2後板
ただの板ではのっぺりし過ぎているので2mm幅の縁取りをし、下部にダミーのリベットを打ちました。また、バーナーを取り出せる20x24の四角い穴も開けました。


2012/9/28
120927_1屋根の工作
屋根のアールに合わせて曲げた5x5黄銅アングル(15x15アングルから切り出して使用)と、幅5mm厚み1.5mmの板(これも15x15アングルから)を組み合わせ、直径3mmのステンレス棒と共にロウ付けして骨組みにしました。屋根には1mm厚の黄銅板を使いましたが、緩いカーブとはいえ、手の力だけではほとんど曲がらず、木槌で叩いて何とか曲げました。


2012/10/9
121004_1バッファー
小さな機関車なので、バッファーは真ん中に一つだけのタイプにしました。ただ、寸法的なことと細かな形が分からなかったので、イギリスにあるIP Engineeringというところからサンプルを取り寄せました。写真の左に写っている白っぽい二つがそうです。ただ、これは全てが一体で出来ていますが、作り易さを考えて、土台になる方と先の部分の二つに分けました。土台の方は直径10mmの黄銅丸棒から旋盤で作り、四隅にリベットを(ダミー)を打った四角い板(厚み1.6mm)をロウ付けして作りました。先端の部分は、直径5mmのドリルロッドに3mmの段を付け5mmほどネジを切ってから、楕円(写真の角度が悪くて楕円に見えませんが)に切り抜いた1.6mm厚の鉄板をロウ付けしました。(楕円は、17mmx12mmです。)


2012/10/11
121009_1なんとなくサイドタンクの側面が寂しいので、プレートを貼ることにしました。適当な名前が思い浮かばなかったので、簡単に、7作目ということで”No.7”にしました。エッチングで作りましたが、今回は楕円です(ちょっと文字が見えにくいですね)。あと、手直しを少々。先ず、加減弁のレバーですが、円形のものに変更しました。ドライバーを乗せるとレバーがぶつかりそうなので。それとヘッドライト。よりカンテラらしく細い取っ手を付けました。バーナーも先端を作り直しました。全長を少し短くして、穴の数を60個から50個に減らしました。
これで、本体の工作としては殆ど終わりです。残るは塗装だけになりました。


2012/10/13
121010_1塗装の為にバラし始めたんですが、サイドタンクの中のガスタンクが左の写真の様になっていました。分かり易い様にタンクの側面にヤスリを乗せてみましたが、かなり膨らんでいるのが分かると思います。温められて膨張したガスの力で膨らんだようです。ガスタンクの大きさはW52xH32xD13と、それほど大きくはないのですが、これほど膨らんでしまうとは思いませんでした。この後、破裂するかどうかは分かりませんが、とりあえず塗装の前に直すことにしました。

121010_2作り直すことも考えましたが、多少板厚を厚くしたところで変わらないような気がします。円筒形なら強そうですがサイドタンクの中に入れるとなると、ちょっと。で、結局、補強のステイを入れることにしました。リン青銅で4mmのネジを作り、両側からナットで締める付けてからロウ付けしました。

121010_3左の写真が補強の終わったガスタンクです。他のロウも融けずに、どうにかステイがロウ付けできました。これでも又膨らんでしまうことも考えられるので、これからは走行後にチェックしようかと思います。ついでに床からの熱がガスタンクに伝わるのを減らそうと、底のネジにステンレスのナットをねじ込みました。これで床からタンクを少しだけ浮かせます。


2012/10/17
121016_1.jpg塗装終了
エアブラシの調子が悪く(普段の手入れが悪い為)、なかなか綺麗に塗れなくて苦労しましたが、なんとか塗装も終わりました。で、乾いた順に組み立てています。サイドタンクと後板は黄色(黄色に赤を少々と黒を二三滴)に塗りました。このページトップの完成予想図とは違いますが…。ラインも省略。


2012/10/21
overtype_mov組み立て終わったので、ワゴン(IP Engineeringからバッファーと一緒に購入)を引かせて動画を撮りました。忙しく動くロッドの動きが面白いです。 逆転器は前進と中立の中間ぐらい、レギュレーターは180度ほど開けています。
朝まだ気温が低いので、煙突からの蒸気がよく見えます。
(注:カメラを新しくしました。)

OverType0-4-0 Over type 完成



121119_1補強用のステイを入れたガスタンクですが、さらに、断熱材としてセラミックシート(1.0mm)を貼り付けました。


2014/10/12
OverTypeMov2年ぶりに走らせました。
引いているのは、ハンスレットに引かせるつもりでスレートワゴンと一緒にイギリスのAnDelというところから購入した客車です。ただ、車体が大きくハンスレットに引かせるにはバランスが悪くしまっておいたのですが、それを今回ゲージ幅を広げて、45mmゲージ幅の機関車に引かせるように直しました。これまでに作った45mmの機関車の中でも一番似合っていそうな、この”Over type”に引かせて走らせました。(客車に340gのウエイトを載せています。)


--仕様--

完成日; 2012/10/20
ゲージ; 45mm
スケール; 16mm
ボイラ; Single flue, 容量 約70ml (70%)
燃料; ブタン
シリンダ; 2, double-acting oscillators
ギヤ比; 3:1
給油器; Displacement
重さ; 約1.6kg
長さ; 164mm, 幅; 86mm, 高さ; 148mm


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